似てる/似てない 2
「お、獄寺の猫じゃねーか」
山本は、目敏い。
いい加減構われるのにうっとうしくなった瓜がわざわざ人を避け、エネルギーの節約に丸くなって眠っているところを見つけて、手を伸ばしてくる。
「……っ」
問答無用。
その手が触れる寸前にいっぱいに爪を伸ばした前足を一閃すれば、その鋭い爪は山本の手の甲にくっきり赤い直線を三筋残した。
「はは、お前、ホント獄寺そっくりなのな」
ひっかかれたばかりだというのに、山本はにこにこと状態を屈めて瓜を覗き込む。
あと数センチその顔を近付けたら、今度はその生意気な鼻面を引っ掻いてやろう、と瓜は心に決めた。
「そうやって突っかかってくるとことか、淋しがり屋なとことかホントそっくりだよなぁ」
ど こ が だ 。
人語を喋れるならばすかさずそう言い返すところだったが、あいにく瓜の口からはふにゃー、という抗議の鳴き声しか出てこなかった。