「約束の地 -Terra Promessa」 2008/05/04



「行こうか」
 宣戦布告は、呟くように静かに。
 その手にはめられた毛糸のミトンが、オレンジ色の炎を灯すXグローブへと変化することが、何よりの証だった。
「獄寺君」
「お任せください、十代目!」
 戦闘の口火を切るのは、獄寺の役目だ。
 放たれた無数のダイナマイトが、閉ざされた門を破壊し、見張りを倒し、何事かとわらわらと集まってくる雑魚達を吹き飛ばす。
 本当に手強い相手が出てくるのは、突入のその後だ。

 わらわらと湧いて出ては自動小銃を連射するばかりの雑魚に気を取られて、足元を掬われた。
 そういうやり口だと、分かっていたはずなのに。
 最初の一人は、大型のメイス──鎚矛──だった。打撃力の強い、古代からの武器だ。
 身長2mは超える大男が、リングの力で強化されたそれを易々と振り回してくる。
 簡単に倒せる相手ではなかった。
 引き受けたのは、了平だった。
「お前達は先に行け!すぐに追いつく!」
 その言葉に背中を押されて、先を急いだ。
 再び、わらわらと寄ってくる雑魚の群れ。
「行ってください、十代目!」
 確かにこういう敵には獄寺のダイナマイトが有効だと、その言葉に頷いた。
「ほぉ、なかなかやるではないか。ボンゴレとやらにも、ちょっとはマシな使い手がいたようだ」
 振るわれた円月刀を受け止めたのは、山本の時雨金時だった。
「山本!」
「行け、ツナ!」
 目にも留まらぬ速さで、打ち交わされる刃と刃。
 手出しなど出来ないままに先を急いで、迷い込んだダイニングルームで手に手に武器を取ったメイドの集団に囲まれた。
 銃の構え方も知らないような女達相手に、綱吉が拳を振るえるはずもなく。
「行って、ボス!」
 傷つけることのできないボスの代わりに、クロームの幻術が女達の動きを封じた。



 そうして、一人きり首謀者たるボスの元を目指す綱吉の前に、現われたのは。
「遅いよ、君達」
 敵、ではなく。
 杳として、その所在を掴ませなかった人。
「ヒバリさん!」
 雲の守護者。
 雲雀恭弥、その人だった。
 単独でどうやってここまでの情報を手にいれ、ここまで乗り込んできたのか。
 相変わらず最強の名に相応しい人だと綱吉は思った。






前半、ツナメイン&オールキャラなバトルから。
獄ヒバシーンは、いったいどこを抜き出せばネタばれにならないのか分からなくて
サンプル作れませんでした、ごめんなさい。
……抜き出せそうなところは、年齢規制入りそうだったんです……