実物は赤い紙に黒刷り
「野獣降臨」 2009/05/04
「ヒバリさん!?」
「ヒバリ!」
駆け付けた時には、もうヘリコプターは並中グラウンドのど真中に綺麗に着陸していた。
操縦技術云々の問題ではなく、並中を傷つけることは許さないという雲雀の矜持なのだろう。
「新手かい?」
駆け寄る気配にこちらを向いた瞬間、自分達も旧知と認識されていないことを悟った。
旧知だからといって友好的な態度を取られたことなど一度もないし、殺気を向けられるのもぼこられるのもいつものことだが、これは違う、とすぐに綱吉は気付いた。
隣で、獄寺も顔色を変えている。
「……っ、ヒバリ!動くな!」
認識されていないのは明らかなのに、なお呼びかけるその声の切迫した様子に、綱吉の方が驚いたくらいだ。
「獄寺君?」
「あいつ、チアノーゼを起こしてます。まともに動ける状態じゃない。……あの様子、何か神経系の薬物を使われた可能性は高いっスね」
「ああ、だから……」
だから最初から草壁もシャマルか獄寺、と指定してきたのだ、と綱吉は納得する。
問題は、今の雲雀にそれを聞き入れる耳などなさそうなことだ。
「具合悪そうだから、並盛病院行って下さい、とか言っても……聞いてくれなさそうだよね」
「無理っスね」
そこで力強く同意されても何の解決にもなりはしない。
「仕方ねぇな」
ひょいっと肩から飛び降りる赤ん坊。
「リボーン!?」
「……」
小さな黒衣の殺し屋は、黙ってその銃口を雲雀に向けた。
「リボーンっ!」
制止する間なんてあるはずもなく。
「無駄だよ!」
カンっと微かな音を立てて弾き返される銃弾。
「……」
リボーンの表情は変わらない。
「……っ!」
次の瞬間、何かに驚愕するように雲雀が目を見開いたかと思えば、かくりと糸の切れた人形のように、膝をついた。
「…っ、何、を……」
そのままがくりと崩れる上半身を必死に腕で支え、まなざしだけで人を射殺せそうな凄絶な視線をリボーンに向けた。
「一発弾いたくらいで俺の弾を防いだと思うな。しばらく眠ってろ」
必死に支えていた腕からかくりと力が抜けて、雲雀が地に伏せる。
「ヒバリ……っ!」
「ヒバリさん…っ!」
二人が駆け寄る。
近づく気配にだろう、ぴくりと雲雀が指先を動かしたがそこまでだった。
基本、雲雀は眠りっぱなし(=出番なし)です。
メインは頑張る隼人かな。
……それでも最後にはR18になる不思議。