四重奏 7



 午後の微睡みは縁側で。

 ほかほかの太陽に包まれて、すやすや眠っていた黒仔猫がふと目を開けたら、ゆらり、ゆらり銀色毛並みの尻尾が揺れていた。
 ざわり、血が騒ぐ。

 触りたい。
 捕まえたい。
 咬みたい。

 寝起きの仔猫は本能に動かされ、ガブリと噛みついた。



 みぎゃーっ、と最近ではすっかり定番になった仔猫のはやとの叫び声が響き渡ったのはいうまでもない。





「信じらんない」
「ん?」
「馬鹿過ぎる」
 珍しく雲雀は呆れ顔。
「どっちが?」
「どっちも」
 動くものに見境なく飛びつくなんて、狩猟者としては失格で。
 尻尾に咬みつかれるなんて生物として問題外だ。
 そう冷ややかに言い放つ。

「そうか?」
 にやりと笑って、隼人は雲雀の尻尾に手を伸ばした。
 どんな上等なヴェルヴェットも及ばない柔らかくしなやかな最上の手触り。細くしなやかな、極上の尻尾。
「俺も咬んでみたいぜ?」
 するり、根元から先端まで手のひらを滑らして、さりげなく口元に引き寄せた先端に。


 ちゅ、と音を立てて口づけた。




















SNSより再録


君の尻尾に恋してる