獄誕! 4




「恭さん」
 例のものが、と。
 草壁が呼ぶ。

 板張りの別室に、樽が一つ。
 知り合いの蔵元から特別に取り寄せられた酒樽だ。
「え」
 相変わらず目にも留まらぬ速さで、トンファーが出現したかと思ったら、樽の蓋を叩き割った。
 えええ、鏡開きってそういうものか?
 まるで常識人のように、獄寺でさえ驚いた。

 これもいい匂いのする木の勺で汲まれた酒を、雲雀が枡に注ぐ。
「はい」 
 手渡される
「おう」
 そういやこいつ最近清酒に凝ってたんだっけ、とか呑気に思って。


 今日の日付を、忘れていた獄寺に、たぶん罪はない。


















SNSより再録




獄誕ラストワン。