四重奏 2 みぎゃあああ、と断末魔の叫びにも似た仔猫の叫びが長閑な昼下がりを引き裂いた。 「……はやと?」 大きな銀色猫を枕に微睡んでいた雲雀が目を開けた。 「ほっとけ。どうせ調子に乗って高い木にでも登って降りられなくなったかなんかだろうよ」 隼人が冷ややかに言い捨てれば、逆に雲雀はその真っ黒の瞳を愉しげに煌めかせた。 「経験談かい?」 「…うっせぇ」 背けられる顔。 「あの仔のそんな間抜けに可愛い姿なら、ぜひ見に行かなくちゃ」 するりしなやかに尻尾を揺らめかせて庭に降り立った二匹が見いだしたのは、高い木から降りられなくなった馬鹿な仔猫の姿ではなく。 今まさに、同サイズの真っ黒仔猫にがぶりと耳を噛じられている、銀色の養い仔の姿だった。 |
SNSより再録 ひばみゃん 出逢い編 |