四重奏 1




「雲雀」
 差し掛けられる番傘。
 雨は嫌いだ。
 湿気を含んだ漆黒の毛並みは重くなる。
 だけど、傘なんてもっと嫌いで。


 それに気付いたのは、勘に近かった。
 植え込みの影。
 泥にまみれた、ぼろぼろの。

 右足を伸ばす。爪先でひょいと引っかけて、ごろり転がせば。
「おわ、」
 汚れた塊は、仔猫と知れた。
「それ、拾って」
「あ?」
 俺がか!?とかなんとか呟きながら、隼人はそのゴミみたいな塊を摘みあげた。




 汚い、とそれ共々湯屋に追いやられ、嫌いな風呂でごしげしと手荒く洗い流した結果、ごみみたいな塊は、あろうことか、自分のそれによく似た銀色の仔猫になった。

 ね、と愉しげに雲雀が喉を鳴らした。



















SNSより再録



ひばにゃん(大)、はやみゃん(小)を拾う