マフィアになりたくてなるヤツなんて、そいつはマフィアじゃない、ただのちんぴらだ。


 医者で殺し屋という矛盾の塊みたいな男が、昔、主治医をしていたファミリーの子供に言ったことだ。


 まっとうな世界ってもののほとんどを敵に回しても護りたい、護らなきゃならねーもんがあるから、マフィアになるんだ。

 お前の護るものは、なんだ?
 隼人。





 答えられるはずなんて、なかった。




 護るものを、見つけた。

 護られることを知ったから。
 護ることを誓った。




 そうして、手にした、たった答えに。
 縛られていることにさえ、気付かぬままに。