ルビーを思うような色で





 本当をいうと、彼のことはよく知らなかった。

 スクアーロの、ボス。
 スクアーロの、絶対。

 ……分からない。
 ただ。

 夜の並中の空を切り裂いた炎の。
 彼の、瞳の。
 
 ただ、息苦しいほどに赤かったことだけを、覚えている。




「贈り物ですか?」
 あれから、もう何年も経って。

 ローマの街角。
 ひやかして歩いたマーケットで、大きな赤い宝石を見つけた。

 宝石なんて縁も興味もなかった俺は、その時初めて、その赤い石がルビーっていうものなんだと知った。
(ルビー、って言葉は聞いたことあったけど、どんなものか知らなかったんだ)


 あれから、ずっと。
 その人のことを、思い出している。

 
 その、赤い色の石を見るたびに。











除獣様主催のモエチャにて
書き散らかせていただいた短文ログ


山本視点ザンザス

ザン山になれるかも知れない、程度