神様、もう少しだけ彼女に祝福を。




「ビアンキ姉」
 声をかければ。
「なぁに?」
 その人は、艶やかに笑う。

 綺麗で。
 強くて。
 優しくて。
 とても、不器用な人。


 此処にいる僕には、十年のときを跳び越えるというのがどんなことか、想像しかできない。
 だから、皆に余裕がないのは、そんなものなのかもしれない、と思うしかないのだけれど。

 彼女の深い悲しみと慈しみが、彼に届いていないように見えるのは、少し淋しい。
 
 分かって、いる。
 それ、は。
 はやと兄の咎じゃあ、ない、けれど。

 
 願うなら。
 神様。


 もう少しだけ、彼女に祝福を。










除獣様主催のモエチャにて
書き散らかせていただいた短文ログ


十年後フゥ太目線で、姉弟。