中学生vs大人 T 気付けば、押し倒されて、乗っかられていた。 「……っ、な、…」 ぱくぱくと、真夏の金魚鉢の中の金魚のように世話しなく口を開閉させるものの、驚愕というか衝撃が強すぎて、言葉にならない。 「おかしいかい?」 十年後の雲雀が嗤った。 雲雀はそんな笑い方をしない。 そう否定したくなるような、自らを傷つけるような嗤いだった。 「僕が、君を欲しいのは」 「ヒ、バリ……」 「十年前の君だとしても。僕は、君が欲しいよ」 首筋にくちづけ。 痛いような、その感覚。 覚えの、ある。 その場所。 馬鹿野郎。 ここにはいない、十年後の己を罵る。 十年後の自分を腹の底から殴りたいと思うのは、こちらの世界に来て2回目だった。 一度目は、十年後の綱吉の死を知らされた時だった。右腕として、一体何をしていたのか。十年後の山本を殴りつけた、その十倍くらいはぼこ殴りにしてやりたかった。 そして、今。 雲雀恭弥にこんな顔で、欲しい、と言わせるほどに。 十年後の自分は、一体何をしていたのか。 彼を。 満たしてさえ、やれていないのか。 「……」 返すべき言葉もなく。 けれど、十年後の雲雀恭弥に囁ける愛の言葉も持たず。 ただ。 縋るように、くちづけで言葉を封じた。 |
SNSより再録 現在進行中で ひそかに脳内ブームが再来している 中学生はやと×十年後ひばりシリーズ 続きものではないんですが |