甘え




 
 背中に、ぬくもり。



 事が終わった後も、彼は一向に雲雀を離そうとしない。
 緩やかに胸を撫でる掌も先ほどまでの熱は消えて。

 ただ触れるだけの。


 知っている。

 これは、彼の。
 ただの甘えだ。

 雲雀を慈しみ甘やかすふりで、甘えてくる。
 ずいぶん狡い男に育ったものだとは思うけれど。


 あと、しばらくは。
 この腕の中を独占してやってもいいか、と思うくらい。


 手に負えないのは、自分の方だ。








SNSより再録