シャンパン+アマレット U




 
細く滑らかに立ち上る泡の弾けるのと共に香るアマレットはアーモンドの香り。正確にはアーモンドではなく杏の種であり、この香りを持つものとして世界的に有名なのものといえば、杏仁豆腐と青酸カリで。

「おい」
「何?」
お前、洋酒は飲みつけていないのだから、ほどほどにしとけ、と制するタイミングならすでに逃していたらしく、時既に遅く。

「ねぇ」
甘く溶けるまなざし。小さく開いて誘う唇。

甘い猛毒の香りのキス。


毒を食らわば皿まで。
あるいは、自縄自縛。

テーブルの上のシャンパンアマレットからは、まだ規則正しく小さな泡が立ち上っている。
 






SNSより再録

葵恭さんにささげもの