掌の中の 「年の数だけ豆を食べるのよ」 そう言って、奈々が豆を入れた大きな枡から、豆を6粒、ランボの小さな掌に乗せた。 「あれれ?ママン間違えてるよ。ランボさん5歳だもんね」 「ううん、数え年だから6歳でいいのよ」 同じ6粒をイーピンの掌に。 「はい、次は獄寺くん」 「は、はいっ、お母様!」 にこっと奈々に微笑みで促され、獄寺は反射的にランボと同じポーズで両の掌で15粒の豆を受け取った。 「ああ、ずるいーっ、ランボさんももっとーっ!」 自分の倍以上も豆を貰った獄寺に、当然のようにランボが絡んでくる。 「ええ、ランボくんも、14歳になったらね」 ランボのようにぎゅっと握れば掌に隠れてしまう、というほど少なくもなく。 けれど例えば食卓でこんもり美味しそうに器に盛られて出される煮豆に比較してしまえば、たったこれっぽち、と思わずにはいられない、たった15粒の豆。 ツナの掌にも15粒。山本の掌にも15粒。 たったそれだけの、自分達が生きてきた歳月の印。 いつか。 数える豆の、この掌から、溢れてこぼれそうになる頃には。 もっと自分は、強くなれているのだろうか。 否。 きっと、なってみせる、と。 豆とともに噛みしめる決意。 春は、もう少しだ。 |
突発・季節の小ネタ 個人的には節分は思い入れのある行事です 太巻きまるかぶりも、鰯の頭も、豆撒きもですが 某神社で枡酒飲みつつん、屋台食べ歩きたいです ・ |