咬みたいうなじ 沢田綱吉を特訓という名目で適当にいたぶって、自室へと戻る帰り道。 面白いものを見た。 明らかに疲れたという足取りでのたのたと歩いて行く、小柄な身体。 中学生の、獄寺隼人だ。 やっぱり小さい、とここのところ習慣のようになった感想がまた心にぽつりと浮かぶ。 誰と比べて、なんて顧みるまでもない。 忌々しい、とさえ思う。 あの男に慣れ過ぎている自分の認識が、だ。 時折切りたい衝動に駆られる程度には長くなった銀の髪を、自分でも邪魔になったのだろう、少し高い位置で無造作に結んでいるせいで、普段あまり意識することのない白い項が目に飛び込んでくる。 抜けるように白い項。 少し力をこめれば片手で捻り潰せそうな細い首筋。 珍しいものを見た気になる。 あの頃は、よく見ていたのだろうか。あまり覚えていない。 十年後の彼は、この小さい姿よりも幾分を髪を短くするようになったために、こんな風に結んでいる姿を見ることはなくなった。 髪を結いあげた女性の項が色っぽいとどこかで読んだ気がする。 あいにく豊満な胸や細い腰にさえ女性の色気を感じることなど乏しい雲雀には、理解できない感覚だと気にも留めていなかったが、なるほど一理あるのかも知れない、とふと思った。 それにしたって―――無防備に過ぎる。 鈍すぎるだろう。これだけ背後から仔細に観察され検分されて、気配に気づきもしないというのは。 足音なんて立てない。 気配なんて幾らでも殺せる。 影のように、というよりは暗殺者の身のこなしで彼の背後に立って。 その、白い項に歯を立てた。 「うぎやああっ!?」 うるさい、と思った。 なので皮膚を噛みちぎってしまわないよう慎重に、咬みつくその歯に少しだけ力をこめた。 「ひ…っ」 ぴく、とその背が震える。 大人しくしろ、と思う。 首の後ろを咬まれたら絶対服従は、猫の習性だったか。 僅かな弾力。 はむ、ともう一度だけ軽く甘咬みをして、解放してやる。 「な…、てめ…っ」 ばっとすごい勢いで振り向いた獄寺隼人は、本能的に首の後ろをかばうように右手で右手で隠し、左手をふるふると震わせながら雲雀に向かって突き出して、何事か言おうと口をぱくぱくさせているけれど、まるで言葉にはなっていない。 その姿ときたらまるっきりの子供で、沢田綱吉の足元によく転がっている牛柄の幼児達となんら大差ないのではないかとさえ思える。 まして、先ほど、無防備に晒されていた白い項に強烈に感じた色気など、とっくに消え失せて、あれは忌々しい霧の守護者とやらが見せた幻覚だったのではないかと思いたくなるほどだ。 あいにく、雲雀はあれが幻覚でもなんでもなく、あえて名づけるならば自分の欲望だったことを知っている。この十年、幻覚という名のものについては、少しは詳しくなったつもりだ。 動揺のあまり呼吸困難を起こしたのか、はぁはぁと肩で息をしている少年を、見下ろす。 「……別に咬み殺したりはしないよ」 今はね、と含み笑い。 「どういう意味だ」 きっと睨みあげてくるそのまなざしのきつさを、気に入っている。 「甘咬みしたくなっただけだよ」 そんな無防備に項を見せている君が悪い、とは。 言わないでいてあげよう、と思うのが、雲雀のせめてもの慈悲だ。 |
アニぱらネタ 中の人萌ですみません こんどーさんは時々巨大な燃料を投下してくださいます いちー好きなのはもうすみません でふぉってことにしておいてください ごちそうさまでした うなじ甘咬みは 中学生はやと×中学生ひばり 大人はやと×中学生ひばり 中学生はやと×大人ひばり 大人はやと×大人ひばり の4パターンで妄想してみた結果 中学生×大人が一番萌えました 中学生ひばりんは他人のうなじになにかを感じるほど 成熟してない子供だと思います 大人はやとは髪くくれるほど長くないですしね。 |