盾 危ないとか避けられないとか考えるより早く、身体が防御に入っていた。 手傷を負うことを恐れたことはないが、生体として動きを維持できなくなることは敗北を意味する。それだけは回避しようとする戦闘本能の働きだ。 けれど覚悟した衝撃はいつになっても訪れなかった。 目を閉じるような真似はしなかった。 だから、雲雀はその視界に、何の前触れもなく現れ、盾となったものをはっきりと見ていた。 黒い、人の骨を連想させるパーツが、十字と円形に組み合い、そこに強力なエネルギーの生じていることが、肌に感じられた。 守られたのだ、と認識した。 「へ…借りは返したぜ」 その声を、知っていた。 同じようなことが、以前にもあった。 「つってもてめーじゃわかんねーか」 彼の言うことは分からなかった。 「恭さん!」 よく知る声が、さらに雲雀の意識に割り込んできて、雲雀はようやく彼らの姿を認識した。 草壁哲矢。 風紀副委員長の彼が、両肩に負傷者を担いでいる。 その後ろには見覚えのある黒曜中の制服の女子生徒と、これも見かけたことのある子供達。 なんだ、その群れは、と。 最悪の気分だった。 手加減されたことも。 助けられたことも。 目の前で群れていることも。 全部全部気に入らなかった。 だけど。 一番、気に入らないのは。 自分を護った、彼の仕業らしい、あの、盾を。 一瞬でも、見事だと思ってしまった自分の心だ。 |
今週号WJ(標的209)感想 この感動をどう日記で語っても語れない気がしたので SSにしてみました スィステーマに一瞬でもひばりんが ときめいてくれるといいなぁと |