指輪の住人



「……少し、黙ってろ」
 銀色の髪の少年が、くちづけで、言葉を封じる。
 まだ、少し不器用な。
 子供の、交情。



『あれが当代の嵐の守護者か』
 ベッドサイドに置かれたボンゴレリングに宿る魂が、非実体のままふわりと宙に現れる。
 肌身離さずリングを身につけている少年が、リングを置くのは、雲の守護者たる少年と交わるそのひとときだけだ。
 百年を超える指輪の時間の、そのすべてを見ている、というわけではない。
 けれど、その指輪所持者たる、代々のボンゴレ嵐の守護者と魂は共鳴し、こうして写し絵を見るようにおぼろげに、彼らの生きる世界を垣間見る。

『……っ!』
 不意に、その手に痛みを感じる。
 肉体はない。神経もない。
 だから、これは彼の者の意思が与える圧力に対して、記憶が反応している。
 手錠。
 アラウディ。
『覗き見とはいい趣味だね』
『よう』
 すぐ近くに置かれた、もう一つのボンゴレリングに宿る魂。
『ひさしぶりだな』

 その所持者達の魂が、触れ合っているからこそ。
 指輪に宿る自分達も、こんな風に共に在ることができる。

『さっさと戻れ』
 指輪の中に、と。
 脅される。
『わかったよ』
 渋々、頷いた。


 雲の守護者は、あれで案外照れ屋なのだ、と。
 幼い当代も、もう知っているだろうか。
















初代守護者達(の魂)はボンゴレリングの中にいて
外で起きていることが分かっているなら
こういうことがあっても不思議じゃないと思うんだ

という小ネタ