四重奏 21

 




 隣り合わせに、二つ並べて敷かれた布団の、片方に二匹の仔猫が揃って潜りこむことが、たまにある。
 そんな時はたいてい、はやとがひばりの布団にもぐりこみ、ひばりはそれをただそっけなく背を向けて体半分だけ、場所を空けてくれる。
 
 触れるか、触れないか。
 そんな微妙な距離で過ごす、深い深い、闇の底。

 
 眠れない、夜。

「……っ」
 ふと、背中に触れる体温を意識した。
 微妙だったはずの距離が、ゼロになる。
 ぴったりと背中に張り付く、まだ華奢で柔らかな身体。
 やけにあたたかな体温。

 ぎゅっと大きな黒猫に抱きしめられるのとは違う、どこか頼りなく不安定で、それなのに、ひどくその存在を主張するような。

 とくん、とくん、と心臓が鳴る。
 うるさいくらいに、響く鼓動。
 あまりにうるさく鳴り響くものだから、背中に張りつく黒仔猫が目を覚まさないか、と心配になる。
 けれど、それは杞憂で。

 とくん、とくん、と。
 鳴り続ける心臓。

 まだ外は朝になれば白銀に輝く冬だというのに。
 布団の中の、銀色仔猫の頬は暑かった。













SNSより再録



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