四重奏 19

 



「……」

 眠れない、と袖のあたりに噛み付く仔猫を、膝に抱き寄せる。
 反射のように小さく暴れるのはさらりと無視して。
 膝の上の熱。
 仔猫の体温は成人のそれより、高い。
 エネルギーの塊みたいなものだ。
 見るからにエネルギーに満ち溢れた銀色仔猫はともかく、内にその熱を秘めた黒仔猫なら、自らのエネルギーを持て余してもおかしくはない。

「おやすみ」

 鎮静は自分の得意とするところではないのだが、と思いながら。

 静かに。
 何度も。
 黒仔猫の頭を撫でた。




 よい 夢を。
 おやすみ。











SNSより再録



子守歌がわりに即興で書いた子守SS
しばらく子守歌SSが続きました