四重奏 17

 




「大人しくしておいで」
そんな台詞とともに、抱き寄せられて、ドキドキする。

雲雀の膝の上、息さえひそめて、ただじっと。
時折、落ち着かない尻尾がぴくんと揺れるたび、どきどきして、今度はその心臓がうるさいのでは、とそわそわする。

湯たんぽになるのは簡単じゃない。





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「うぉ…っ!?」
 不意に膝の上に、突撃するみたいに飛び込んできた黒い塊に吃驚して、ぎりぎり受け止めるのがやっとだった。
「………ひばり?」
 数刻前から、大きい方の黒猫の膝には、銀色仔猫が陣取っている。
 隼人としても、実のところ内心あまり面白くはなかったけれど、それを言動に表すのも大人気ないとなんとか自制していたところだった。

 
 別に君の湯たんぽになってあげるわけじゃないよただ今日は寒いから僕だって電気カーペットでもあればそこに寝そべるけどないからしょうがないから君で我慢してあげているだけだよ誤解しないであれなんか全然関係ないんだから。

 膝の上の黒仔猫がまなざし一つで雄弁に訴えかけている、けれど。
 


 可愛いなぁ、と思っていることは、たぶん一生黒仔猫には教えてやれない気がした。










SNSより再録




湯たんぽにされて硬直してるはやみゃん
自ら湯たんぽになりにいくひばみゃん