四重奏 15







 昨日の夕方頃から降り出した雪は夜半には大雪となって、朝仔猫達が目を覚ました時には、外は深い雪に包まれていた。
「うわー。ゆき!あんなに積もってる!」
 寒いと渋る黒仔猫は、猫にあるまじく大雪にはしゃぐ銀色仔猫に散々ちょっかいを出された結果、銀色仔猫を追いかけて結局庭を駆け回る羽目になった。

 夜のうちに雪雲は去り、抜けるような青空に顔を覗かせた太陽に、銀世界がキラキラときらめいている。
 眩しい、と黒仔猫が目を細めたその時だった。
 ざざっと頭上高くで、木の枝が鳴った。
「……っ!」
 銀色仔猫が上を見上げた瞬間、木の枝に積もっていた雪がどさりと落ちてきた。

「……!?」
 一気に落ちてきた雪は、黒仔猫の背丈よりも高い山となる。
 唖然としてその山を見上げて。
 銀色仔猫の姿がない、と一呼吸おいて気付いた。
 
 どうしよう、と無表情のまま黒仔猫は途方にくれた。


 きゅ、と雪を踏みしめる音が後ろでして振り返れば、天敵みたいな大きいほうの黒猫が、立っていた。
 その隣には、大きいほうの銀色猫。
「ほら」
 すっと手を伸ばした黒猫が指差すのは、白い雪山のそのてっぺん。
 ぴくん、と雪と同じ色をした小さな三角が震えた。
「ったく」
 ぼやきながら、銀色猫がぐしゃっと雪の中に手を突っ込みつつ、雪山を崩す。

「……っ!!」
 雪山から引きずりだされた銀色仔猫は、呆然とした様子で、翡翠の色の目を瞬かせて。
 それから、ふるふるっと首を振って、顔をいわず髪といわず雪まみれになったのを、振り払った。





「ね」
 ほら。
 君を見つけるのなんて、簡単なんだよ。
 
 そう、黒猫が銀色仔猫に目くばせした。














SNSより再録



雪に埋もれて三角耳だけ飛び出てるはやみゃんとか
ふるふるとしてるはやみゃんが書きたかった という話