四重奏 8



 ころころと卓袱台の上の山積みの栗が転がる。
 銀色仔猫のはやとは、先刻から栗剥きに熱中だ。
「あ、こら!てめぇ!」
 さっきから一つ二つと剥き終わるたびに黒仔猫のひばりに奪われ続けているのだが、剥くこと自体が楽しいのだろう、その都度怒る割にはめげずに剥き続けている。
 それでも飽きっぽい黒仔猫が手出しをやめてうとうとし始め、二つ三つと綺麗な黄色の実が手元に揃ったかと思ったら、すくと立ち上がって、とてとてと雲雀の元まで駈けてきた。
「やる」
 つとめてぶっきらぼうに差し出された栗の実は、ぼこぼこにいびつだったけれど。
「ありがとう」
 と、雲雀が、綺麗な笑顔で答える。
「あ、はやと」
「にゃ?」
 一体どんな曲芸皮剥きをしたとういうのか。
 耳や尻尾のふわふわ銀色の毛に、何故かあちこち剥きくずが散らばっている。
 ぺろり、耳の裏の剥きくずを、雲雀に舌で舐めとられて。
 はやとはくすぐったそうに笑った。

「お前、俺に剥かせてありがとうなんて言ったことねぇよな」
 隼人が、大きく溜め息をつくのなんて。
 いつものことだ。














SNSより再録



ゆで栗剥きながら
一生懸命栗剥いて
剥いた栗ひばにゃんにあげるはやみゃんは
可愛いだろうと妄想してみた